支部のフォーカス

新年挨拶

東京税理士会 品川支部 支部長 石井 宏和

 新年あけましておめでとうございます。
 支部会員の皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃は支部業務の運営につきまして、格別のご理解とご支援、ご協力をいただき篤く御礼申し上げます。
 元号が平成となってから今年で30年になりました。振り返れば税率3%で消費税が導入されたのは平成元年4月でした。平成の歴史はまさに消費税の歴史でもあるわけです。
 この間、日本経済は「バブル景気」の頂点から「失われた20年」とも呼ばれる長期にわたる経済停滞期、政権交代、東日本大震災、アベノミクスなどを経て、2年後にはオリンピックを控える新たな時代へと進もうとしています。折しも今上天皇の退位が来年の4月30日と決まりました。まさに一つの大きな時代の節目が訪れていると言えましょう。
 もう一つの節目は、戦後70年が過ぎ、昭和の高度経済成長期を支えた世代の高齢化が進んでいることです。
これは、わが国の経済を支えてきた中小企業の経営者が大量に引退を迎える時期であることをも意味します。
 戦後の発展を支えてきた中小企業の優良な技術技能を次世代へ円滑に承継しなくては、わが国の産業基盤は劣化してしまいます。事業承継が円滑に進むよう、税制や金融の面から制度を整えることが急務です。
 ある調査によると、中小企業経営者が事業承継に関して最も親身に相談している相手として挙げているのは、圧倒的に私たち税理士です。東京税理士会も中小企業の支援を重要な事業の一つと位置づけており、その会員である私たちもその重要性を理解して事業承継問題に取り組んでいく必要があります。
 さて、昨年の前半、世間の話題をさらったのは将棋の藤井聡太四段の活躍でしたが、その囲碁将棋の高段者の頭脳を凌ぐほどの飛躍的発達を遂げたのが、AI・人工知能でした。
 ある英国の学者が、近未来予測として、人工知能の発達により将来無くなる職業に税務申告代行者や簿記・会計・監査の事務員などを挙げたことを契機に、人工知能を税務・会計業界にとっての脅威とする見方もあるようです。しかしながらAI のみならずフィンテック、クラウドを利用した会計システムなど、技術の進歩は私たちの利便性を向上し業務の選択肢に多様性をもたらすものであって、単に脅威と捉えるのは短絡的でしょう。
 重要なのは、技術の進歩を有用なツールと位置づけ、これを上手く利用して生産性を向上させ、顧客のために付加価値を創り出す意欲であって、会員のためそのサポートをするのが、これからの税理士会や支部の役割であると思います。
 人工知能について、将棋棋士の羽生善治氏は「0と1に分離できない物事にこそ人の営みがあるのではないか(そこが人工知能にとっての限界である)」と述べています。
 感情のある人間の思考や行動は常に合理的とは限りません。その人間の行う経済的営みを税法に照らし合わせて解釈し適用する税理士の業務を人工知能に置き換えることは難しく、私たち税理士の存在意義はまさにそこにあるのではないでしょうか。
 このような時代の大きな変革期の中、支部においては、世の中の動向を的確に捉えながら、税務支援、租税教育など税理士の社会的使命を果たすとともに、会員の皆様の業務の遂行に役立つよう研修受講の機会と最新情報の提供を図りながら、より充実した業務執行を目指していく所存です。
 時代の節目となるであろう本年平成30年が会員の皆様にとってよりよい一年となりますことを祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。